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月経前不快気分障害2

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月経前不快気分障害1の続き>

PMDDの診断(DSM-IV-TR の研究用基準案)
A.過去1年の間の月経周期のほとんどにおいて,以下の症状の5つ(またはそれ以上)が黄体期の最後の週の大半の時間に存在し,卵胞期の開始後2,3日以内に消失し始め,月経後1週間は存在しなかった。(1)(2)(3)又は(4)のいずれかの症状は少なくとも1つ存在する。

(1)著しい抑うつ気分,絶望感,自己卑下の観念
(2)著しい不安,緊張,“緊張が高まっている”とか“いらだっている”という感情
(3)著しい情緒不安定性(例:突然,悲しくなる又は涙もろくなるという感じ,又は拒絶に対する敏感さの増大)
(4)持続的で著しい怒り,いらだたしさ,又は対人関係の摩擦の増大

(5)日常の活動に対する興味の減退(例:仕事,学校,友人,趣味)
(6)集中困難の自覚
(7)倦怠感,易疲労性,又は気力の著しい欠如
(8)食欲の著名な変化,過食,または特定の食物への渇望
(9)過眠または不眠
(10)圧倒される,又は制御不能という自覚
(11)他の身体症状,例えば,乳房の圧痛又は腫脹,頭痛,関係痛又は筋肉痛,“膨らんでいる”感覚,体重増加

注:月経のある女性では,黄体期は排卵と月経開始の間の時期に対応し,卵胞期は月経とともに始まる。月経のない女性では,黄体期と卵胞期の時期決定には,循環血中ホルモンの測定が必要であろう。
B.この障害は,仕事又は学校,又は通常の社会的活動や他者との人間関係を著しく妨げる(例:社会的活動の回避,仕事又は学校での生産性及び効率の低下)。
C.この障害は,大うつ病性障害,パニック障害,気分変調性障害,又はパーソナリティ障害のような,他の障害の症状の単なる悪化ではない(ただし,これらの障害のどれに重なってもよい)
D.基準A,B,及びCは,症状のある性周期の少なくとも連続2回について,前方視的に行われる毎日の評定により確認される(診断は,この確認に先立ち,暫定的に下されてもよい)。                     
(「DSM-IV-TR精神疾患の診断・統計マニュアル新訂版」,医学書院,2004年から転載)

障害度
軽微で短期間である反面,罹病期間は累計すると長期(平均400回の月経周期)に及ぶ
ため,未治療のPMDDは,二次的・三次的な機能障害を与えるケースが考えられます。

鑑別疾患
身体的要因として子宮内膜症,甲状腺疾患,SLE,繊維性のう胞性乳房,栄養評価としてカフェイン,塩分摂取などが挙げられます。そのため,経口避妊薬や性腺ホルモンに影響を与える婦人科的薬剤の使用歴をチェックする必要があります。

危険因子
社会心理学的因子,産後うつ病や経口避妊薬による気分変動の既往歴などが挙げられます。

治療
薬物療法として,Steinerら(2006年)によるエキスパート・ガイドラインでは, Sertraline(ジェイゾロフト),Fluvoxamine(デプロメール / ルボックス), Paroxetine(パキシル)(特に前2者が月経への影響が少なく,食欲を抑制する方向に働くことから有効と考えます), FluoxetineやCitalopram(共に国内未発売)などが推奨されますが,主にSSRIによるコントロール研究によって,通常量による有効性が確認されており,月経前の黄体期2週間前から投与するという間歇投与が持続投与による効果と同程度であることが示されています。その他,不安や不眠に対してBZP系薬剤(Alprazolam:コンスタン / ソラナックス)を頓服薬として使用し,体液貯留には利尿剤の短期使用,その他の身体症状には漢方(温経湯:後山ら;2002年)が有効とされます。それ以上に本人と周囲に対して疾病の存在と認識を持たせ,医学的心理教育を行うことが患者を最大限に援助することに繋がると考えます。また,精神症状への影響も無視できないことから,黄体期~卵胞期に起こりやすい片頭痛に対する治療も,併せて行う必要があります(Jクリニックでは,両者の治療も含めた統合的な治療を行っています)。

上記参考文献以外の参考資料
岡野禎治:第3部 臨床上の諸問題 / 第24章 ライフサイクル II 女性のライフサイクルからみた気分障害;気分障害 医学書院 2008年
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by jotoyasuragi | 2010-03-08 10:14 | 心理教育シリーズ

金沢市にある医療・福祉施設です。


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